PLUTO 浦沢直樹x手塚治虫 ISBN:4091874312

鉄腕アトムの「地上最大のロボット」を浦沢直樹風にリメイクしたものらしい。
まあ、原作を知らないので変な比較はしなくてすむんだけどね。
ノリとしては、「MONSTER」なんかに近いノリ。
ロボットのとらえ方ってのが、どこまで人と同列に扱って良いものが、実際にその時代が来てないので、難しいところですね。
おいらは、結構ものに執着するタイプなので、当初はロボットを大切に扱うかもしれないけど、もしそれが自分に意見するようになったら、どう思うでしょうね。
おいらは大学で人工知能的な研究をしてたけど、初期段階である程度の知識を持たざるを得ないコンピュータと、そうでない生物とは同等に考えられないかな。
生物には「本能」と言うある種の知識は有るけど、それは決して良い方に向くとは限らない。
例えば、生まれたままに教育を施さないでいると、「食欲」や「性欲」を抑えることが出来ずに、今の世で言う「犯罪」に走ってしまうだろう。
ロボット(コンピュータ)は機械的に人間以上の肉体的能力を持ち得る可能性が有るので、当然有る程度の制約が必要になる。
まあ、この作品の世界では「ロボット法」って呼ばれてるやつだろう。
それを初期段階でプログラミングするのと、後から教育するのでは大きな差だ。
もし、ロボットに後から教育を施すことが出来れば、それは人間に近くなった証拠だろうが、果たしてそんなものに意味があるのだろうか?。
ただでさえ人が溢れかえっている地球にはそんな余裕はないはずだ。
と言うわけで、やっぱりこの作品の世界は、物語の中に止めておくのが吉だと思う。


とは言え、ものを大切に出来ない人間は、人も大切に出来ないだろうから、
その辺の事を考える機会になるために読んでみるのも良いと思います。
変な先入観を除けば、物語の進め方としては、浦沢さんはやっぱおもしろいです。
脇役に回った、アトムがどう動くのかも興味有りますしね。